アートに行こうっ!

ふと我に返ると
自分は何でこんな仕事をしてるんだろう。。。
と思う。。


そもそもは芸術家志望。
小さい頃は絵が好きで
絵を描いて遊んでた記憶しかないし
油絵描き続けて
そのうち松本零士の世界に触れて
零士の世界の女性の絵ばかり描いてた気が。。。
中学高校は、ブラスオーケストラ(とみんなで呼んでいた)で
ホルンを吹き続け、マジでベルリンフィル(なぜ?)ー
って目指してた。
どこで間違ったか
音大行かずに手堅く工学部なんぞに入ったのが運の尽きだったのか。。。
まあ、本田宗一郎に惹かれてHRCに入るぞーなんてマジで思って
工学部に入って、ホンダに入ったはいいが
専攻が災い(?)して、エンジニアリング。。。
バイクの朝研も遠くHRCどころで無く夢は破れ〜
みたいな。。。


話は大きく逸れましたが。。。
そう! アートに行こう!


今のものづくりって一体なんなのだろう。
今現在、パソコン開発の現場に関わっているが
そもそも、コンシューマ製品に関わったのも
パソコンが初めて。
それまでは、
ちっちゃなシステム・ハウスで、パルスモータの
コントローラやドライバーの開発を行っていた。
とっても地味な仕事でコンシューマ・ユーザの目に触れるような
仕事では無かった。
で、パソコンだ。
まさに、コンシューマが使う基幹ハイテク機器。
俄然気分が盛り上がったものだ。。。
そう、じゅううん年くらい前までは。。。


今は何?
およそ、クリエイティブと呼べる部分が
極めて少ない。。
というか、現在、僕が手がけるクライアント先において
自身が手がける活動以外に、クリエイティブな領域が
皆無に等しい。
これは一体なんなのだろう。。。
それは、一にコスト二にコスト、
三四も五もコスト。。。
これでは、クリエイティブも何もあったものでは無い。。。
開発と言っても、それはもはやパズルにしか過ぎない。。。
使うピースの形も全て決まっていて誰がどうやっても
同じ形になる。
確かに、そのパズルを正確且つ迅速に仕上げる技には
目を見張るものがある。
ただでさえ素晴らしく磨きがかかっている技の上に
更にボストンなんちゃらとかケン●リッジなどのコンサルの繊細な技が
乗ってくるので、それはそれは、もうすごい神の世界。


でも
出来上がったものに
”魂”
が無いのだ。。。


モノとして、本当に物欲をそそる
何かが無い。。。


その何かとは
やっぱり、”魂”としか
表現しようがない。。。


カラオケ好きの
おいら流に表現するなら
音声合成のコンピュータの歌聞かされてる感じ。。。
それだったら
よっぽど音痴でもソウルフルでシャウトな感じの歌の方が
こころに響く


まさに
今の、ものづくりは
このコンピュータの音声合成のカラオケのようなものだ


そんな今、懐かしく思うのは
パルスモータのコントローラやドライバーを開発していた頃。
コンシューマの目には決して触れない地味な世界だったけど
自分が開発したものはすごくアーティスティックだった。
レシピの素材選びのように
マイコンの選定とゲートアレイのゲート数のバランスを考えながら
S/Wのモジュール構成をアートに仕上げ
味の無いゲートアレイのデフォルト・モジュールを使わずに
クラッチから演算器を組み上げ、S字状に加速するパルス生成を
如何に美しく演算して、如何に美しいS字波形を作り出すかに
燃えていた。もはや、マスターベーションに近い領域だが
”魂”をこめて、寝ずにそんな開発をしていた。


そう
一見すると地味なフィールドでは、そんなアートな事が出来ていたのに
一見華々しいコンシューマ現場では、アートなんて縁遠く
無機質な音声合成のカラオケが鳴り響いている。。。


もちろん
時代もあろう。。。
だけど
今でも産業系の、そういう開発現場では
結構そういう気質と環境が残っている。。。


でも
きっと
そんな、ソウル なものを
みんなが求める時代が来る。。はず


その日のためにも
音声合成の声にならないように
どんな環境下でも
アートに行こう!
技術者のみなさん。
アートにね


いつしか
猿の惑星の時代になったときに
遺跡として発掘されたときに
アートとして認識してもらえるような
ものづくりをしたいと
思う、今日このごろ